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法人税
資産に関する法人税務③ ~有価証券について①~

令和5年6月26日号掲載

今回は、資産に関する法人税務の内、有価証券の意義、区分、取得価格についてご説明いたします。

1.有価証券の意義 

一般的に有価証券は、財産的価値が元本の金額に化体されているものとして、例えば、小切手、受取手形等、証券に化体されている財産権の金額と別個の取引金額が発生し、 譲渡損益が発生するものとして、国債や社債・株券などが挙げられます。

そして税法では次に掲げるものを有価証券として取扱うこととしています。

(1)金融商品取引法に規定する有価証券

 ・国債証券

 ・地方債証券

 ・社債券

 ・株券又は新株予約権証券

 ・貸付信託の受益証券

 ・信託法に規定する受益証券発行信託の受益証券など

(2)その他これに準ずるもの

 ・合名会社、合資会社または合同会社の社員の持分

 ・株主となる権利など

(3)一定のもの

 ・証券業者の有する商品としての有価証券

 

2.有価証券の区分

法人は保有している有価証券を「売買目的有価証券」と「売買目的外有価証券」に区分します。

さらに、売買目的外有価証券は、「満期保有目的等有価証券」又は「その他有価証券」に区分します。

 

(1)売買目的有価証券

売買目的有価証券とは短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券で具体的には次のようなものが該当します。

 ①短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的で取引を行ったもの

 ②その取得の日において短期売買目的で取得した旨を帳簿書類に記載したもの

 ③金銭の信託のうち、その契約を締結したことに伴いその信託財産となる金銭を支出した日において、 その信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨を帳簿書類に記載したその信託財産に属する有価証券

 ④適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立により被合併法人等から移転を受けた有価証券のうち、 その移転の直前において当該被合併法人等において売買目的有価証券とされていたもの

 ⑤株式以外の資産の交付がない合併又は分割型分割により交付を受けた合併法人又は分割承継法人の株式で、 その交付の基因となった合併に係る被合併法人又は分割に係る分割法人の株式が売買目的有価証券とされていたもの

 

(2)売買目的外有価証券

売買目的外有価証券については、満期保有目的等有価証券とその他有価証券に区分されます。

①満期保有目的等有価証券

満期保有目的等有価証券は満期保有目的有価証券及び企業支配株式が該当します。

満期保有目的有価証券とは、償還期限の定めのある有価証券のうち、その償還期限まで保有する目的で取得し、かつ、取得の日においてその旨を帳簿書類に区分記載したものをいいます。

また企業支配株式とは、法人の特殊関係株主等がその法人の発行済株式の総数又は出資金額の100分の20以上に相当する数の株式又は出資を有する場合におけるその特殊関係株主等の有するその法人の株式又は出資をいいます。

 ②その他有価証券

その他有価証券は売買目的有価証券や満期保有目的等有価証券のいずれにも該当しない有価証券をいいます。

具体的には業務提携などの目的で所有している持合株式や長期的な時価の変動を利用して利益を得ることを目的に所有している有価証券などが該当します。

 

3.取得価額

有価証券の取得価額は、譲渡原価の計算や評価額の計算の基礎となるため、 法人税法上は次のように取得の態様に応じて次のように規定されています。

 

①購入した有価証券

購入代価に購入手数料などの付随費用を加えた金額

②金銭の払込みで取得した有価証券

払い込んだ金額(有利発行に該当しない(時価相当を前提))

③株式交換等により受け入れた有価証券等

受入価額に付随費用を加えた金額(受入価額が受入時の時価を超えるときは時価が取得価となります。)

④有利発行、贈与、交換等により取得した有価証券

取得時の時価(払込金額と時価との差額は受贈益となります。)

⑤合併または分割型分割や適格分社型分割または適格現物出資により交付を受けた株式 合併等直前の帳簿価額(または移転資産等の帳簿価額による純資産価額)となります。

 

以上となります。

次回は、有価証券の譲渡原価の算出方法などにについてご紹介させていただきます。

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