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資産に関する法人税務② ~棚卸資産について②~

令和5年5月29日掲載

今回は、資産に関する法人税務の内、棚卸資産の評価についてご説明いたします。

 

1.棚卸資産の評価方法

棚卸資産、いわゆる在庫の期末残高は、その事業年度の売上総利益(粗利)に大きな影響を与える数値といえます。

棚卸資産の評価方法は以下のとおりいくつかございますが、そのうちいずれの方法を選定するかにより、 棚卸資産の期末評価額が異なってくることとなります。

 

棚卸資産の期末評価の方法として選定することができる評価方法は、 大きく原価法と低価法とに分けられますが、ここでは原価法を取り上げます。

原価法は、期末棚卸資産について、次のいずれかの方法により取得価額を算出し、その算出した取得価額をもって、期末棚卸資産とする方法です。

 

個別法

期末棚卸資産の全部について、その個々の取得価額を期末評価額とする方法です。

なお、この方法は、大量に取引され、かつ、規格に応じて価額が定められているようなものには適用することができません。

先入先出法

期末棚卸資産が、期末近くに取得したものから順次構成されているものとみなし、そのみなされた棚卸資産の取得価額を期末評価額とする方法です。

従って、物価が上昇傾向にある時には粗利が多く計算されるという特徴があります。

最終仕入原価法

事業年度の最後に取得したものの単価で、期末棚卸資産を評価する方法です。

計算が簡単であると同時に、期末近くにおける時価の騰落が評価額に大きく影響するという特徴があります。

その他の方法

その他に総平均法、移動平均法、売価還元法がありますが、ここでの説明は割愛させていただきます。

 

2.評価方法の選定・届出

法人は、原則として棚卸資産の評価方法のうちのいずれかを選定して納税地の所轄税務署長に届け出ることになっています。

評価方法の選定単位

法人は、棚卸資産の評価についてそれぞれ事業の種類ごとに、かつ、棚卸資産の区分(前回の商品又は製品、半製品などの分類)ごとに、原価法又は低価法のうちいずれか一つを選定する必要があります。

なお、事業所別に、又は棚卸資産の区分を更に種類の異なるごとその他合理的な区分ごとに細分して評価方法を選定することもできます。

評価方法の届出

評価方法の届出は、納税地の所轄税務署長に対し、設立の日や新たな種類の事業を開始した日などの日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までにする必要があります。

なお、届出をしなかった場合の評価方法は、最終仕入原価法による原価法(法定評価方法)になります。

評価方法の変更

棚卸資産の評価方法を変更する場合には、納税地の所轄税務署長に承認申請書を提出し、その承認を受ける必要があります。

なお、この承認申請書は、変更しようとする事業年度開始日の前日までに提出する必要があります。

 

以上となります。

次回は、有価証券について紹介させていただきます。

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