前回まで、令和5年税制改正における法人課税の項目をお伝えいたしましたが、今回から 資産に関する法人税務をご説明いたします。初回は、棚卸資産についてです。
1.棚卸資産の意義
地棚卸資産とは、販売することを目的として保有される財貨、用役又は投下される財貨、用役をいいます。 したがって、棚卸資産かどうかは、その資産の属性によることなく、取得又は保有の目的などにより判断することになります。
いわゆる在庫と呼ばれ、小売業なら販売するために仕入れた商品、製造業なら製品を作るために仕入れた原材料などが棚卸資産に該当します。 不動産会社等が販売の目的をもって所有する土地、建物等は棚卸資産に該当します
法人税法では、棚卸資産を以下のように分類しています。
(1)商品又は製品(副産物及び作業くずを含みます。)
(2)半製品
(3)仕掛品(半成工事を含みます。)
(4)主要原材料
(5)補助原材料
(6)消耗品で貯蔵中のもの
2.棚卸資産の取得価額
棚卸資産の取得価額は、原則として、その資産の購入の代価と販売の用に供するためなどに直接要した費用の合計です。 したがって、付随費用も取得価額に含まれることになります。
(1)購入した場合
購入した棚卸資産の取得価額には、購入代価に加えて、引取運賃や荷役費、運送保険料、 購入手数料、関税といった購入に当たってかかった費用も含まれます。また、その商品を消費又は販売するために直接要した費用も含まれます。
なお、次に掲げる費用は、購入代価のおおむね3%以内であれば取得価額に算入しないことができます。
①買入事務、検収、整理、選別、手入れなどの費用
②販売所間の移管費用
③特別の時期に販売するための長期保管費用
また、次のような費用は、たとえ棚卸資産の取得や保有に関連して支出するものであっても、取得価額に算入しないことができます。
①不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税
②登録免許税その他の登記・登録費用
③借入金の利子
(2)自社で製造した場合
自社で製造した棚卸資産の取得価額には、製造または加工した製品の原材料の購入費の他、製造にあたった従業員の人件費や、製造場所である工場の光熱費など、製造のためにかかったすべての費用が含まれます。 また、その製品を消費または販売するために直接要した費用も含まれます。
なお、次に掲げる費用は、製造原価のおおむね3%以内であれば取得価額に算入しないことができます。
①製造後の検査、検定、整理、選別、手入れなどの費用
②販売所間の移管費用
③特別の時期に販売するための長期保管費用
また、次のような費用は、製造原価に算入しないことができます。
①創立記念日などに支給される特別賞与
②基礎研究や応用研究のための試験研究費
③棚卸資産の評価損
以上となります。
次回は、棚卸資産の評価方法について紹介させていただきます。
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