以前の税務トピックスにおいて電子帳簿保存法について概要を説明しましたが、今回は、令和4年1月から施行させている改正・電子帳簿保存法の変更点を紹介させていただきます。
1.電子保存義務化の2年間の宥恕措置
本来、R4年1月以降は、電子取引で授受した取引情報は必ず電子データとして保存しなければならなかったのですが、多くの企業の対応が間に合わないということで令和5年12月まで2年間の猶予期間が設けられました。
2.事前承認手続きの廃止
これまで電子帳簿保存やスキャナ保存を行う際には、事前に税務署長から承認を得る必要がありましたが、令和4年1月以後に保存する国税関係の帳簿・書類やスキャナ保存については、事前承認が廃止されました。
3.タイムスタンプの要件が緩和
スキャナ保存時に行う電子データへのタイムスタンプについて、付与期間が最長約2カ月に統一されました。また、スキャナで読み取る前の受領者の自署も不要となりました。
4.検索要件の緩和
電子データの保存については、検索機能を付けておくことが必要でした。これまでの検索機能では、多くの項目が検索できなくてはなりませんでしたが、改正後は「日付」、「金額」、「取引先」に限定されました。
また、国税庁などに電子データのダウンロードを要求された際、随時応じることができる場合は、検索条件の設定要件も不要となりました。
5.適正事務処理要件の廃止
改正前は、相互けん制、定期的な検査および再発防止策の社内規程整備を行う適正事務処理要件がありましたが、これが廃止になりました。また、定期検査まで保存が必要だった原本は、スキャナ後にすぐに破棄が可能になりました。そして、事務処理における相互けん制に関しても廃止され、
これまで2名以上での対応が必要だったものが1名での対応が認められました。宥恕措置は設けられたものの、帳簿書類や電子取引の電子データでの保存義務化は避けられない状況です。令和6年1月に備えて早めに準備を開始いたしましょう。