令和2年12月10日、政府与党は令和3年度の税制改正大綱を公表しました。
その中で、今回は中小企業における所得拡大税制の改正についてご紹介いたします。
(大企業向けの制度についても改正が行われましたが、新規雇用者の増加に着目したもので、中小企業における改正とかなり差異が生じた改正になりました。)
1.適用要件の見直し
適用要件の見直し 今回の改正により、「継続雇用者給与等支給額」ではなく、「雇用者給与等支給額」の増加割合によって適用要件を判定することとされました。
(1)改正前(下記の①及び②の両方の要件を満たす必要があります)
①適用年度の雇用者給与等支給額 > 前期の雇用者給与等支給額
②適用年度の継続雇用者給与等支給額 ≧ 前期の継続雇用者給与等支給額×101.5%
(2)改正後
適用年度の雇用者給与等支給額 ≧ 前期の雇用者給与等支給額×101.5%
2. 税額控除額の上乗せ措置の要件の見直し
税額控除額は、(雇用者給与等支給額 - 前期の雇用者給与等支給額)×15%で計算されますが、一定の要件を満たすと控除割合が25%に上乗せされます。この要件について見直しが行われました。
(1)改正前(下記の①及び②の両方の要件を満たす必要があります)
①適用年度の継続雇用者給与等支給額 ≧ 前期の継続雇用者給与等支給額×102.5%
②下記のいずれかを満たす場合
イ:適用年度の教育訓練費の額 ≧ 前期の教育訓練費の額×110%
ロ:適用年度終了の日までに、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画に従って、経営力向上が確実に行われたものとして証明されたこと
(2)改正後(下記の①及び②の両方の要件を満たす必要があります)
①適用年度の雇用者給与等支給額 ≧ 前期の雇用者給与等支給額×102.5%
②改正前と変更なし
今回の改正で前期の給与から1.5%増加していれば適用できることとなり、かなりシンプルな制度になりました。なお、この改正については、令和3年4月1日~令和5年3月31日までの間に開始する事業年度が対象となる予定です。