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税務トピックス

所得税
「個人事業、法人はどちらがお得?」

(令和2年10月19日号)

独立するなら個人事業で行うべきか、法人を作るべきか…これから事業の経営者となるうえで、最初に頭を悩ませる課題です。そこで今回は、税金面にスポットを当て、検討します。

個人事業において、給与の概念はなく、事業によって得た所得(個人の収入-必要経費)に所得税が課税されます。

一方、法人では、事業によって得た所得(会社の収入-会社の経費-社長の給与)に法人税が課税され、社長個人には、自身に役員報酬という給与を出すことができます。この給与は個人の所得となり、所得税が課税されます。

それでは法人にも個人にも税金がかかることになり、不利ではないか・・・と思われるかもしれません

 

そこで、年収1,000万円を例に簡単な税金シミュレーションを行ってみたいと思います。

 

例:年収1,000万円、必要経費400万円、社長の給与600万円 (個人の税率:30%、法人の税率:30%)

1)個人事業

(1,000万円-400万円)×30%=180万円

2)法人

①(1,000万円-400万円-600万円)×30%=0

② 600万円-(600万円×20%+44万円)×30%=130万円・・・社長の給与にかかる税金

③ ①+②=130万円  納める税金は、180万円 > 130万円  ∴法人有利

 

なぜこのような差が生じるのでしょうか?一見すると同じ税率なので、税金は変わらないようにも見えますが、実は個人事業にはない、ある秘密が法人には隠されています。それは、「給与所得控除額」の存在です。

 

社長を含め、いわゆる給与所得者が受け取る給与については、個人事業のように必要経費を控除するという計算方法は認められていません。しかし、給与所得者においても、仕事のために自己負担でスーツや書籍を購入するケースがあります。そこで、「給与所得控除」という一定の基準を設け、給与所得者については、個別に経費性を判断する代わりに給与額に応じて、概算経費として算入できる金額を一律に定めています。

ただし、社長の給与を増やせば増やすほど、有利になる訳ではなく、令和2年分より、給与収入が850万円を超える場合には、給与所得控除額について195万円が限度となりました。

その他にも個人事業で赤字になった場合、所得税はかかりませんが、法人は赤字であっても、法人住民税という税金が毎年最低7万円かかります。なお、所得税は、「超過累進税率」という、所得が多くなるにしたがって税率が段階的に高くなる方法を採用し、法人税は、「比例税率」という、法人の種類や資本金の規模、その年の所得を基準に一定税率を適用する方法を採用していますので、収入や経費、給与の金額など、前提条件を変えることによって税率差が生じ、結果は変わってきます。常に法人が有利とは限りませんので、1つの目安としてお考え下さい。

また、ここでは触れておりませんが、社会保険料の負担や税金以外の側面からも検討する必要がございますので、個人事業で行うべきか、法人を作るべきか、迷われる際にはご遠慮なく、ご相談ください!

 

(税務コンサルタント 棚村 亮介)

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