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税務トピックス

法人税
「企業会計と法人税制 ①」

(令和2年10月12日号)

I. 企業会計と法人税制の基本的考え方について

1. 企業会計と税務会計の関係

両者の趣旨・目的は、本来的に異なっています。

①企業会計・・・企業の財政状態や経営成績を適切に開示することを目的

②税務会計・・・法人の経済活動から生じた所得金額を算定し、公平な課税を行うことを目的

 

上記のような相違からみると、それぞれの計算規定は必然的に差異が生ずることになります。 ただし、企業会計も税務会計も「会計」という手段を通じて会社(法人)の経済活動の成果(利益)を捉えようとする点では同じです。また、真実性、透明性及び明確性が要請される企業会計と税務会計は、ともに理念を共有しているとみることもできます。

 

2. 法人税法の所得計算規定と企業会計との関係

法人税法における所得金額の計算規定は、同法22 条2項及び3項の益金及び損金に関する規定を同条4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」が補完する構造となっています。

一方、企業会計においては、多くの会計基準が制定されつつありますが、それらの内容は必ずしも網羅的であるとはいえず、確立した会計慣行が存在しないか、会計処理の方法が明らかでないものが少なくありません。この点で法人税法は、減価償却に関する規定など、企業会計にはない詳細な定めを有する事項があり、企業の実務も法人税法の規定や取扱いに準拠して処理している例が多くなっています。

こうした面からみれば、企業会計と法人税法の所得計算規定とは、相互に補完しているとみることができます。

 

3. 法人税法の損金不算入項目と企業会計の関係

交際費、寄附金、役員給与など企業会計上の費用又は損失であっても、法人税法上は損金の額に算入されないものが少なくありません。これらの項目は、租税政策等の観点から法人税法が独自に損金性を否定したものになります。

 

【参考】法人税法 第22条

 

1. 内国法人の各事業年度の所得の金額は、 当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

 

2. 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

 

3. 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。

 

① 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額

② 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額

③ 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

 

④ 第2項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。

 

⑤ 第2項又は第3項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第115条第1項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。

 

(税理士 前田 賢二)

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