税務署目線

税務署はそもそもどんなことが気になって調査に訪れたのでしょうか?即ち税務署目線から見たら、どのような決算書が気になるのでしょう?
主だったものとしては以上の5点があげられます。

1 粗利率の低下、在庫の急減
 

 

一般的に粗利率が大幅に低下することはありません。
余程安売りを繰り返したり、商品自体が陳腐化して廃棄した場合ならいざしらず、大きくは変動しないのが普通です。

ではこの大幅なというのは、どの程度の範囲をいうのでしょうか?
概ね5%以上の低下を指します。そのくらい一般的には変動しません。

そこで、目に付くのが在庫です。
意外と中小企業では在庫の実地棚卸はあまり頻度よく行っていないのが現実です。
在庫帳もきちんとつけていないと、本当の在庫数は正確には把握していないでしょう!そうなってくると、不自然な在庫、棚卸金額となります。

それが過度に少ないと原価が上がり、結果粗利益は下がります。よって最終利益も減ることになるので税金も少なく済む・・・。
税務署はそのような目線で見てくるのです。

 

2 人件費の増加
 

 

給料が大幅に増加しました。売上はあまり増えていないのに・・・?税務署としては気になりますよね?

これは、架空人件費を意識しています。
現金で支給していたり、履歴書が無かったり、短期間で退職した人、給料が未払いな人がいる・・・いずれも調査で相当突っ込まれる部分です。
この架空というのはもちろん悪質と認定されますので、調査で否認されると“重加算税”という重い罰金が課税されます。
(通常の税金に約40%加算されます)

この架空とされないためには、その人はうちに在籍していたんだ!という証拠を必ず残しておいてください。
例えば、履歴書・・・ たまに辞めた人の分は捨てているよ!という方がいらっしゃいますが、少なくとも税務調査が来るまでは保存をお勧めします。
現金で支給している場合には、その人から直筆で受領書をもらってください。
タイムカード、日報、業務報告書なども当然有効になりますので、
仮に変な辞め方をした人でも、短気を起こさずに保管する癖をつけてください!

 

3 外注費、支払手数料、広告宣伝費の増加
 

 

外注費や支払手数料ですが、これも急激に増加したら目立ちます。
架空外注費、架空手数料・・・ 先ほどの人件費と同様です。

一般的に外注費や手数料を支払う前に、相手側と契約書などを取り交わすことが多いかと思います。
何もないのに金銭の支払いをしている。
特に現金で支払っているなんて、益々怪しい?そんな風に税務署は見てきます。できる限り、振込をお勧めします。
しかし、振込だから無条件で大丈夫かというとそうでもありません。契約書に基づいて支払ってはいるのですが、そもそもその外注費高くないですか?
その手数料、一般的なものと比べて異常に高額では?なんて税務署が判断したら、その金額算定の根拠、それに見合う収益アップなど、調査官は追及してきます。

それは広告宣伝費や販売促進費なども同様です。
金額の妥当性もさることながら、決算月の直前で多額の宣伝費を計上していた場合には、それがその期のものであるのか?
本当は来期以降のものではないのか?などかなり疑った目で見てきますので要注意です。

たまに勘違いなされる方もおられますので、改めてご説明いたしますと、この広告宣伝費や販売促進費は“短期前払費用”には該当しません。
これは、保険料や家賃など毎年固定的に発生する経費は、向こう1年分を前払いしても、支払った時点で一括して経費にしてもOK!というものです。
ですが、広告宣伝費などはいわゆる変動費なので、その期の収益に対応した部分でなければ経費に計上することはできません。
ただし、ホームページの製作費用などは完成した時点で一括経費計上は認められています。

 

4 交際費、福利厚生費、会議費の増加
 

 

交際費、福利厚生費なども一般的には急激に増加することは考えにくいと言われています。
にも拘らず、しかも売上の増加もあまりない中で、人も増えていないのに、交際費は増加するわ、福利厚生費は増加するわですと、
税務署としてはなぜ?と疑った目で見てくる可能性は大です!

会社組織ですと、資本金が1億円以下の場合、年間の交際費の枠が800万円となります。
ちなみに、1,000万円年間の交際費を使うと、200万円は経費にすることができません。
もったいないから、これを会議費や厚生費に振り替えてしまおうと考えてしまうのが、経営者なんですよね・・・
個人経営ですと、交際費の限度額というものは存在しないから、だったら個人経営の方がいいや!と考えるのは早計です。
そもそも、個人経営の場合の経費の考え方は、“売上を上げるために直接要した費用”のみが経費として計上できると規定されているのです。
なので、交際費などの遊興費的なものは徹底的に調べられたら認められなくなると言いうわけです。

ここで“やり過ぎ“というレッテルを貼られるかどうか、調査官も人の子ですから、”まあこの程度だったら、金額的にもいいかな?“と思わせる程度にしておかないと、
本気で取りに来てしまいますよ!

 

5 営業外費用、特別損失の発生
 

 

営業外費用や特別損失など、通常ではない支出についても調査官は目を光らせます。
このような特別な支出は金額も大きくなることから、それが本当の損失なのか?という目線で厳しく見ます。
   
例えば、固定資産除却損や廃棄損などです。
本当に除却したの?本当に捨てたのか?ということを証明しなさいと言ってきます。
このような場合には、廃棄証明書を事前に入手しておくとひとまず安心です。
これは廃棄と称して、実は売却していたということが経験上あるからなんです。
特に現在は鉄くずなどスクラップとして高い値がつくものがありますので、それは調査官が必ず押さえています。


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