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事業承継~会社は誰に引き継ぎますか?

投稿日: カテゴリー 税務・法務・労務トピックス

事業承継とは、文字どおり事業を承継することです。具体的には、現在の経営者から後継者に、「社長のイス(経営に必要なもの)」と「自社株(会社支配に必要なもの)」を引き継ぐことをいいます。事業承継にはいろいろな種類や手法、考え方があり、行う前には事前に十分な検討や方向性などを考える必要があります。

今回は、事業承継の主な方法をご紹介いたします。

親族に承継する

現経営者の子供、妻、兄弟姉妹等の親族に対して事業を承継させることを言います。かつては事業承継といえば親族内承継がほとんどでしたが、近年では4~6割ぐらいまで減少しているともいわれています。この傾向は、現経営者の在任期間が短くなるほど顕著となっております。

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(1)メリット

①他の方法と比べて、従業員や取引先などから心情的に受け入れられやすい。

②後継者を早期に決定することにより、後継者教育等の準備期間を長期に確保することが可能。

③相続等により自社株や事業用資産を後継者へ移転できるため、他の方法と比べて、所有と経営の分離を回避できる可能性が高い。

④承継方法として、売買や贈与、相続税制の利用も選択することができ、承継方法の選択の幅が広い。

(2)デメリット

①親族内に、経営の資質と意欲を併せ持つ後継者候補の存在が必要。

②相続人が複数いる場合、後継者の決定・経営権の集中が難しい。

③承継を円滑に行うためには、ある程度時間をかけなければならない。

親族外に承継する

【従業員等】

従業員等の親族以外の人材に事業を承継することを言います。社内へ承継する場合には副社長や専務等の役員や若手経営陣が、社外へ承継する場合には取引先や金融機関から招聘した人物が後継者となる場合が考えられます。

なお、将来の子供等への承継の中継ぎとして、従業員へ一時的に承継する場合も考えられます。

(1)メリット

①親族内に適当な後継者がいない場合でも、会社内外から広く後継候補者を求めることができる。

②社内で長期間勤務している役職員に承継する場合は、業務内容や業界事情について熟知しており、また、経営理念や企業文化も理解しているため経営の一体性を保ちやすい。

(2)デメリット

①親族内承継の場合以上に、後継者候補が経営への強い意志を有していることが重要となるが、適任者がいないおそれがある。

②後継者候補に株式取得等の資金力がない場合が多い。

③親族内承継に比べて、現経営者の会社債務に対する個人保証の引継ぎが金融機関の理解を得にくい。

【M&A】

M&Aは自社株あるいは事業の他社への売却を意味します。一昔前まではM&Aと言えば「乗っ取り」や「家業を売ってしまい祖先に申し訳ない」などの暗いイメージでしたが、最近はM&Aがポピュラーな方法になりました。

(1)メリット

①身近に適任な後継者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができる。

②現経営者が会社売却の利益を獲得できる。

③事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能。

(2)デメリット

①希望の条件(従業員の雇用、価格等)を満たす買い手を見つけるのが困難。

②経営の一体性を保つのが困難。

③現経営者のリタイア後の喪失感が大きい。

 

事業承継の検討をしなければならないと思いつつ、先送りにしている経営者の方々は非常に多いと思います。事業承継の方法検討から実行までには、相当の期間を要しますので、5年後、10年後の事業承継のために今から準備していきましょう。

 

(税理士 山本 剛史)