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「権利の消滅」と「権利の保存」(2)

投稿日: カテゴリー 税務トピックス

弁護士の緒方義行です。

今回は、「除斥期間」についてもう少し詳しくご説明します。

     「権利の消滅」と「権利の保存」(2)

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  「除斥期間」と「権利の保存」
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除斥期間は、時効と違って、?T「援用」は不要(当事者が主張しなくても、
裁判所は職権で権利の消滅を判断できる。)ですが、?U「中断」もなく、その期
間内に「権利行使」をしなければ当然に権利が消滅するとされていますので、
権利を保存するには、その期間内に権利を行使しなければなりません。

それでは、(1)権利を行使できない事情があった場合にも、期間の経過に
よって当然に権利が消滅し、その例外は認められないのでしょうか。
また、(2)権利行使したと言えるためには、何をすればよいのでしょうか。

(1)については、全く権利行使が不可能な状態であったなど極めて例外的
な場合以外に例外は認められていません。

*参考となる事案1 最高裁平成元年12月21日判決

昭和24年に鹿児島県で国の不発弾処理を手伝った原告が、担
当巡査の不適切な指示により爆発にあって負傷し、重大な後遺障害を負った。
事故後、補償を求めて役所に何度も出向いたが満足な給付を受けられな
かったので、事故から20年以上経過してから国家賠償請求訴訟を提起した。
原審裁判所は,被告が除斥期間の徒過を主張することは信義則に反し、権利
の濫用であるとの判断をしたが、最高裁は,除斥期間は当事者の主張を要し
ないのだから、原告(被害者)から出された信義則違反または権利濫用の主
張は、採用できないとして、原審判決を破棄した。

*参考となる事案2 最高裁平成10年6月12日判決
 
予防接種法に基づき生後5カ月のときに痘そうの集団予防接種を受け、その副作用で全く意思能力を有しない
寝たきりの状態に陥った原告が、接種後20年以上を経過してから
禁治産宣告を受け、その後見人が国家賠償を求めた。
最高裁判決は、除斥期間を適用することが著しく正義・公平の理念に反する
と指摘し、時効の停止を定めた158条(時効期間満了前6カ月内に未成年
者や成年被後見人(禁治産者)が法定代理人を有しないときに,その者が能
力者となりまたは法定代理人が就職してから6カ月間は時効を停止する)の
法意に照らし、後見人の就職後6カ月間は除斥期間の効果は生じないとした。

(2)については、場合によって異なり、不法行為による損害賠償請求権に
関する20年の期間については期間内に訴え提起が必要と考えられています
が、瑕疵担保責任の1年の期間制限は裁判外の権利行使で足りると考えられ
ています。

取消権や解除権の行使も裁判外でよく、数量不足の売買がなされた場合の代
金減額請求権についても裁判外の行使でよいと考えられています。

*参考なる事案3 最高裁平成4年10月20日判決

瑕疵担保による損害賠償請求権を保存するためには、除斥期間内に、売主の
担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることをもって足り、裁判上の権
利行使をするまでの必要はない。
売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げたといえるためには、具体
的に瑕疵の内容と損害額の算定根拠を示すなどして、担保責任を問う意思を
明確に告げる必要がある。

(弁護士 緒方 義行)
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